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vol.2:「吐いているから胃腸炎です!!」←本当?

テーマ「膀胱炎・尿石症」

猫といえば「おしっこのトラブル」って聞いたことあります?
いや、実際本当に多いんですよ。
ちなみに人間だとおしっこのトラブルって、自覚症状があるんですね。
「うーん、おしっこのキレ悪いなあ……」とか。
でも、猫ちゃんは言葉が話せません。
いや、実際心が通じてても
「ワイ……、ションベンのキレ悪いんよ……」と言ってるのを理解できる飼い主さんはいないと思います。

いや、いる!

すいません話が進まないので、そういうことで勘弁してください。
で、それを判断するのはトイレの回数だったりします。

「なんかトイレによく行くなあ……」
これは印象で大丈夫です。
その印象にひとつ確認を足してみましょう。

猫ちゃんがトイレに行ったあと、トイレをチェックしてみてください。
おしっこ、しっかりとした量してましたか?
少ない尿量のトイレを何度も繰り返すのは頻尿で、病気の可能性があります。
ただ、頻尿と行っても原因は色々あります。

細菌感染が原因であったり、
尿石(結石)が原因であったり、
精神的な原因であったり。

まって!
細菌とか石とかはわかるけど精神的って何!?
残念ながら、精神的な原因による膀胱炎というものが猫ちゃんではたくさんあるのです。
なので、猫ちゃんがトイレによく行くなあ……と感じたら、まずはかかりつけの先生に相談してみると良いでしょう。


おしっこトラブルで吐くことも!?

ここでやっとの本題(笑)
膀胱炎や様々な尿路疾患には『嘔吐(吐くこと)』が含まれることがあります。
特に尿石症からくる尿道閉塞ではよく見られる症状です。

「何故?おしっこに石ができると吐くの?」と考えられるかもしれません。
でも、考えてみてください。
石が出来て、おしっこの通り道に石があって、おしっこが出ない。
でも、おしっこしたいですよね?
じゃあどうします?
いきむんです、気張るんです
でも、出ないと「うーっ」と気張りすぎて吐いちゃう。
どうです?イメージが湧きましたか?

ちなみに尿道におしっこが詰まっている「尿道閉塞」の状態では、膀胱がパンパンになって痛みを伴います。
猫ちゃんがトイレでいきんでいたり、そこで吐いたりしているときは、ひとまず下腹部を触ってみてください。
いつもしないような声で鳴くようなことがあれば、それは、いそいで病院に行くことをおすすめします。
え? わからない?
そういうときは……やっぱり病院に行ってください。
行かない後悔のダメージが大きいのがおしっこの病気です。

吐いたら「胃がおかしい!」と思いがちですが、こういうケースもあると思っていると、猫ちゃんのおしっこライフが明るくなりますよ。


<猫の下部尿路疾患の症状>

・トイレ以外の場所で排尿する(不適切な排尿)
・排尿時に力む
・膀胱コントロールの喪失(尿失禁)
・頻尿(大抵の場合、少量の尿しか出ない)
・ピンク色もしくは濃い色の尿または血尿
・排尿しようとしている時に痛そうに鳴く/声を出す
・陰部をなめる
・食欲の低下
・元気の喪失または日常活動への関心の喪失

<猫の下部尿路疾患の特徴>

・背中が丸まっている
・頭をやや下向きに曲げている
・前足がピンとまっすぐになっている

<膀胱炎と尿道閉塞の違い>

・膀胱炎→排尿し終えているのに残尿感で何度も力む(膀胱は空っぽ)
・尿道閉塞→排尿したいのに詰まっているから何度も力む(膀胱は満タン)


監修:吉内龍策(獣医師・日本動物病院協会)
執筆:芦名みのる(獣医師・アニメーション監督)
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