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vol.4:うんこが出ない……その時どうする!?

テーマ「巨大結腸症」

さて、今日は便秘のお話です。
え? おしっこだうんこだそんな話ばっかりだって?
そうなんです。
動物の病気って本当にそういうお話ばっかりなのです。

なんででしょう?
これは、動物がモノを話せないからなんです。

我々人間は、お腹の不調というものを自覚しやすいです。
「あ、お腹いたいなあ」とか、「今日の下痢は、昨日アレ食べたからかな?」とか、不調のヒントをお医者さんに伝えられますし、何より、本当に危ないかどうかが自分で判断がしやすいです。

ただ、動物の場合はそこが伝わりにくいので、おしっこやうんこの病気は我々が想像するより深刻である事が多いのです。

そんな中の今日のテーマ「巨大結腸症」ですが、その名の通り「結腸」が「巨大」になっちゃう病気です。

「結腸ってどこよ!? 俺は小腸と大腸しか知らねえ!!」

おっけー、その中の分類です!

小腸は「十二指腸」と「空腸」と「回腸」で構築されています。
大腸はほとんどが「結腸」で、肛門から出る直前の部分を「直腸」といいます。
ちなみに盲腸は小腸(回腸)と大腸(結腸)の切り替え部分にあります。

結腸は大腸の大部分を占めているので、今回の病気は「大腸」が「巨大」になっちゃう病気と考えて差し支えないでしょう。

じゃあ、なぜ巨大になるのか?

それは「消化物がいっぱいになるから」です。

要するに、
「腸の働きにトラブルが発生してうんこがいっぱいに詰まっている」
ってことです。

便秘!?

そうですね。
それの超ヤバいやつと考えてもらえたらオッケーです。


腸がデカくなることは悪いことなの?

では、どうしてうんこがたくさん詰まるとヤバいのでしょう?
結腸だけでなく、腸は基本的に伸びたり縮んだりします。
排便をしたあとの大腸は基本的にぺったんこに縮みます。
イメージとしてはゴムのようなものと思ったらわかりやすいですね。

その腸の中に固いうんこが大量に詰まったらどうなります?
腸の壁が伸び切ってしまって、元に戻ることができなくなります。
ゴムが伸び切ったら戻らないという感覚です。

そうなると、消化物を運ぶこともうまくできません。
それによってたくさんの排便障害が起きてしまいます。

<巨大結腸症の症状>
・便秘
・頻繁な排便困難
・しぶり便
・血便
・食欲不振
・嘔吐
など


巨大結腸症になるねこちゃんってどんなねこ?

どんなねこちゃんも、便秘が続けば巨大結腸症になります。
便秘になるような病気、例えば骨盤骨折とかで腸の流れが狭くなるとか、そういう原因もありますが、日頃の生活習慣や環境も関係しています。

その中で肥満はとても大きなリスク要因となります。
また、ストレスなどの影響もあるので、ねこちゃんのストレスの少ない飼い方を心がけることが重要です。
汚いトイレなども、原因となるので注意が必要です。

<巨大結腸症の要因>
・異物
・狭窄(炎症や腫瘍などで流れがせまくなる)
・骨盤骨折や変形
・脱水
・神経の障害
・薬剤
・ストレス
・不衛生な環境
・不適切な食事
・加齢
・肥満
など


永遠に付き合わなくてはいけない病気

排便障害が問題なので、治療は浣腸や用手排便(指でうんちをかきだす)などを行います。
状態がひどい場合や原因によっては外科手術を行うこともあります。

そして維持のためには可溶性繊維を多く含むフードなどを用いた食事療法や下剤によるコントロールなどを行うことが多いですが、何より生活環境を整えること重要になります。

排便は生きていく上で永遠に行わなくてはならない行為です。
なので巨大結腸症は結腸がもとに戻らない限り、原因疾患が解消されない限りずっと付き合わなければならない病気なのです。
そのため、まずは発症しないように努める事が重要となってきます。

1日うんちをしなければ気にかけて
2日出なければなんとかしなくちゃと考えて
3日出なければ病院にまず相談
それくらい気にしておくことが大切です。

ちゃんと飼っているから発症しないという病気ではありません。
が、ちゃんと飼わないと発症してしまうかもしれない病気なので、皆さんしっかりとねこちゃんの健康に気を配ってくださいね。


監修:吉内龍策(獣医師・日本動物病院協会)
執筆:芦名みのる(獣医師・アニメーション監督)
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