SPECIAL
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vol.7:みんなが怖い糖尿病!
テーマ「猫の糖尿病」
はい!糖尿病です。
名前の雰囲気の割に、とっても怖い病気と有名な糖尿病。
最近ではイメージが悪いとか実際とは異なるということで改名するとかの議論も起きているこの病気。
実際どんな病気なのかは知っていますか?
<糖尿病とは>
食べ物に含まれる糖質は、唾液や膵液のアミラーゼによって分解され、最終的にブドウ糖となり血液に吸収されます。そして、それはすい臓から出されるインスリンと合流することによって様々な組織に取り込まれ、エネルギーに変換されています。
うん? 難しい? 理科の授業じゃない?
はい、じゃあひと言で。
「糖質はすい臓のインスリンの力で活動エネルギーになる」
これでオッケーです。
そのインスリンが何らかの理由によって不足したり、インスリンに反応しにくかったりすることによって、糖が利用されず高血糖の状態が続く状態のことを「糖尿病」と言います。
高血糖の状態は、各臓器に強い負担がかかり、腎臓病や失明、神経障害などの合併症を引き起こします。
糖尿病はどんな病気?
「血糖値が高くてなんでカラダに悪いんだよー?」うん、わかります。
気持ちはわかります。
糖は血液中に溶けて血管を通じて全身を移動します。
高すぎる糖は全身の臓器に負担がかかるんです。
特に血管に。
血管は全身を巡っています。
細かい血管が巡っているところに負担がかかってたらどうなります?
ヤバいですよ。
え? ヤバいじゃなくて専門的に言ってくれ?
いや、わかるでしょ。
ヤバいんですよ。
高血糖の状態が続くほど全身に負担がかかり続けていると考えると、結構怖い病気ですよね?
糖尿病にはどうしてなるの?人と同じ?
よく糖尿病は不摂生のせいだと言われます。実際、そういう部分もあるのですが、必ずしもそれだけではないということは、人の場合でもよく言われています。
ねこちゃんの糖尿病は、肥満、偏った食事という原因以外にも、ウイルス感染や遺伝・免疫疾患などから引き起こされる可能性もあります。
当然、高齢もリスク要因です。
全てのねこちゃんにリスクがある。
そう考えてもらったほうがいいということですね。
ただ……、やっぱりおデブちゃんなねこちゃんに多いです。
やりましょう!
ダイエット!!
<糖尿病の原因>
・肥満
・膵炎
・ウイルス感染
・遺伝性
・ホルモンの異常(クッシング症候群)
糖尿病に気づけるか?
ねこちゃんが糖尿病になっているか気付く方法はないのか……?ねこちゃんのおしっこをなめて、
「ペロ……、これは糖尿病!」
そんな人はいませんね?
……いませんよね?
ちなみに糖尿病=尿に必ず糖が含まれるではありません。
また、尿に糖が出ている=糖尿病でもありません。
ええ!?
どういうこと!?
名前にいつわり有り!?
そうなんです。
だから、最近人間のほうで糖尿病の名前を変えようという動きがあるんです。
じゃあどうやったら気づけるのか?
いや、まあ動物病院に行けばいいんですが、その手前としていくつか挙げておきます。
<糖尿病の徴候>
・多飲多尿
・多食
・体重減少
ひどい時は元気がなくなったり食欲が落ちたり、吐いたり下痢したり色々な症状が出ます。
が、その場合は動物病院に行きますもんね?
基本的には、
「めっちゃ食べたり飲んだりしてるのに痩せてない?」
そう思ったら動物病院に行くべきってことです。
これはこのコラムを読まれている方なら耳にタコですね?
同じ話になるんです。
でもやっぱりそこが大事なんですよ。
猫はストレスでも血糖値がすごい上がる
血糖値が高いと尿に糖が含まれるので糖尿病と名付けられましたが、血糖値が高いから即糖尿病というわけではありません。そもそも血糖値というものは、身体の中では変動し易い数値です。
みなさんも「血液検査をする時は朝ごはんを抜いて~」とか言われますよね?
食事前と後でも数値は大きく変わります。
ただ、ねこちゃんの場合は、それ以外にも変化する状況が多いと知ってください。
すごいストレスがかかる環境でも、血糖値は大きく上がります。
動物病院に対して強いストレスがかかる子は、病院での血液検査で血糖値が高く出る傾向があります。
なので、糖尿病の確定にはさらなる診断が必要になるので、目先の数値に慌てることなく、かかりつけの先生にしっかり相談してくださいね。
人間と同じくかかってしまうと怖い上に結構面倒くさい病気の糖尿病。
全ての発症を防げるものではありませんが、飼い方でそのリスクは減らせます。
日頃のケアと定期的な動物病院での健康診断をしっかり心がけていきましょうね。
監修:吉内龍策(獣医師・日本動物病院協会)
執筆:芦名みのる(獣医師・アニメーション監督)