SPECIAL
スペシャル
vol.6:太っててかわいいより健康でかわいいを目指したい!
テーマ「猫の肥満症」
はい!避けたいテーマですね!
だって、これを語る人間が太っていたらさ……、絶対言われますよね?
「医者の不養生」って……。
ええ……そうです……そうですよね?
でも、私は自らを棚に上げる獣医師なので、えっらそうに語っていきましょう。
皆さんも自らを勢いよく棚に上げて、ねこちゃんの肥満と向き合ってみましょう!!
うちのねこちゃんはおデブなの!?
そもそもです。そもそも、ねこちゃんは我々とくらべてとても小さい生き物ですから、ちょっとやそっと太っててもよくわからないのですよ。
しかも全身に毛が生えていますから、
「なんかモコモコしててかわいいー」
とか思ってたけど実は肥満だった、ということはよくあります。
これは動物病院で健康診断などのときに、
「うちの子太ってますか?」
と聞いていただければお答えしますが、おうちではどうしたらいいか?
そんなみなさんのために、獣医師も採用している肥満の評価法の一部をお教えしますね。
<ボディコンディションスコア(BCS)>
体型を5段階に分けて3を基準とする評価法です。7段階のものもありますが、基本的に数値が高いほど太っていると考えてOKです。
今回は5段階で説明します。
・1/5 削痩(痩せすぎ)
ガリガリで骨が全身浮き出ていたり、肋骨や背骨など様々な骨が触れただけで触れます。
・2/5 体重不足(痩せ気味)
腰にくびれがあり、力を入れなくても肋骨が触れます。
・3/5 理想体重
手触りとして骨ばっておらず、少し力を入れると骨が触れるなという感じ。
・4/5 体重過剰(ちょい太め)
全体が肉っぽくて力を入れないと骨が触れない。
・5/5 肥満(太い)
厚い脂肪に覆われているので骨を触ることが難しい。
端折ってもピンと来ないですか?
じゃあ簡単な判断法です。
『胸の肋骨をナデナデするときに、結構力を入れないと肋骨が触れないねこちゃんは太っている可能性が高い』
です。
人によって力の入れ方がちがうじゃないかって?
知りません!
程よくバランスとってください、そこは!
おデブで何がわるい!?
いや、悪いんですよ。ねこちゃんだけじゃなくて、全ての生き物は心臓によって全身に血液を送り込みます。
肥満の子は、その負担が大きくなってしまいます。
心臓への負担は老化に直結しています。
また、糖尿病の発症リスクが上がるだけでなく、骨や関節の疾患リスク、呼吸器疾患、皮膚病、尿閉症、膵炎など様々な病気の要因となります。
人間と同じですね。
<肥満によって危惧される症状>
・心臓疾患・糖尿病
・骨関節症
・呼吸器疾患
・皮膚病
・尿閉症
・膵炎
など
結局、ダイエットには食事制限が大事!!
じゃあ、どうやったら痩せられます?運動?
うん、運動ね……。
ねこちゃんに? どうやって?
そもそもネコ科の動物は活動として活発な方ではありません。
「動く時はバババッと動くが、基本動かない」動物です。
そんなねこちゃんに運動というのは現実的ではありませんし、たとえ、運動させることができるねこちゃんがいたとしても、ネコ科の特性として運動で痩せることは難しいと考えてください。
結局は、食事制限が大事なのです。
ご飯の種類をダイエット用に変えてみたり、
ご飯の回数を増やして総量を減らしてみたり、
おやつなど間食のコントロールをしたり、
腹持ちのためにご飯のタイプをすべてウェットに替えてみたり、
食事の運動を促すためにパズルフィーダーを使ってみたり、
かかりつけの動物病院の先生と相談してみてくださいね。
監修:吉内龍策(獣医師・日本動物病院協会)
執筆:芦名みのる(獣医師・アニメーション監督)